「赤毛のアン」の文学クラブで知り合い、海外旅行で何度もお世話になっている、かれこれ40年近いお付き合いの友人・山下直子さんが新しい本を出版した。
直子ちゃんは(本当は山下先生と呼ぶべきだろうが、昔からの愛称で)アイルランドに住んで25年目とのこと。来日するなり新刊出版記念のイベントが目白押しの直子ちゃんに会いたくて、あのイベントこのイベントと参加し、挙げ句の果てに仲間内で企画したお祝いイベントもあり、心ゆくまで楽しんだ今週だった。
今日は巣鴨のレソノサウンドで行われた出版記念イベントに参加。レソノサウンドは、古い趣のある建物で、木の窓枠が特徴的だったり、入り口で靴を脱ぐ感じがなんだか懐かしかったり、変わった楽器がディスプレイされていたり、北欧のオブジェや小物が飾られていたり、なにかと興味をそそられるお店だ。昔は病院だった建物と聞いてこの独特の趣はそこから来ているのかと納得した。
さて、イベントの前半は、直子ちゃんの新刊にも何枚か写真を提供していらっしゃる写真家の和田直樹さんとの対談を、次々と映し出されるアイルランドの空気が伝わってくる美しい写真と一緒に楽しんだ。旅の話を聞くのは大好き。見知らぬ場所なら興味が湧くし、行ったことがある場所なら自分も一緒に旅した気持ちになれる。私はアイルランドには3回訪れたことがあるので、懐かしさとともに再訪したい想いが強くなった。
途中アイルランドを代表する紅茶・Barry's TeaとButlersのチョコレートが配られ、ホッと一息。
後半は、アイルランド伝承歌とアイリッシュハープの演奏家でもある奈加靖子さんの歌とハープと物語に聴き入った。今週は楽しい日々でありながら本当に慌ただしく過ごしていて、少し心の余裕を失っていた私は、奈加さんのハープの音色と歌声を聞いているうちにすっかりリラックス。体中の細胞がうっとりしてしまった。
今週の一連の出版イベントで、直子ちゃんからも奈加さんからも聞いて心に残った話がある。アイルランド語には”所有する”や”持つ”という意味の言葉が無い。ただ、そこに”ある”というだけ。「私が本を持っている」と言いたいときには「本が私にある」、そういう言い方をするそうだ。真実を歪めない。自尊しながら他を尊重している。そんなふうにも感じられる。この考え方を聞くだけでなんだかホッとして気持ちがゆるむのを感じた。「誰もが物事をそう解釈するようになれば戦争は無くなるかもしれないね」とあとでみんなと話したぐらい。心に留め置いて忘れないようにしよう。
(2006年にアイルランドを旅したときの写真)
直子ちゃんの本を興味のありそうな友人や読んでほしいと思う人たちに配ったり紹介すると、とても感謝される。私が書いたわけじゃないのにこんなに喜んでもらえるなんて、と恐縮しながら嬉しくてたまらない。みんなに幸せを運ぶ本だと心から思う。たくさんの人に読んでもらえますように。
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