北海道小旅行【千歳〜沙流川温泉〜札幌】その3

きのう宿に着いたときは外が真っ暗だったのでまわりがどんな風景なのか皆目わからなかった。朝ごはんを食べるために食堂へ行って窓から見た眺めにびっくり! そこは日高国際スキー場のゲレンデの目の前だった。ドアを開ければそこはゲレンデ、みたいな場所。まだ土が見えており営業はしていない。でもひとたび十分な雪が降り積もれば、なるほどここは、スキーヤーたちの姿を間近に見ながら食事をしたり、お茶したりできる食堂なのだ。

さて、きょう訪れるところは二風谷(ニブタニ)コタン。アイヌの人々の村が実際に存在していた場所であり、かの松浦武四郎も訪れたという。歴史的に重要な遺跡や貴重な資料、伝統を伝える工芸品などが数多く保存されている。

きのう訪れたウポポイはエンタメ要素の強いテーマパーク風の施設だが、二風谷コタンは素朴で学術的なイメージである。

アイヌ語で「家」を「チセ」と呼ぶ。復元されたチセがいくつも集まって集落のようになっている。

写真ではわかりづらいが、アイヌ紋様のとびらがすてきな「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」。アイヌの歴史と文化をとことん知りたければここへ来るのが一番良いだろう。

他にも沙流川歴史館やアイヌ工芸伝承館、菅野茂二風谷アイヌ資料館など見所は多い。

アイヌの着物を羽織らせてもらい、ウポポイで見た、袖を持って羽のように動かす「鶴の舞」を見よう見まねで踊ってみた。

アイヌの民族衣装はどれもこれもうっとりするような手仕事の極み。その素敵な魅力に目を奪われた。自然由来のもので織られた布や糸を使い、信じられないほどていねいに細かい刺繍が施された着物は肌触りがよく軽くて着心地抜群である。

コタンの奥には二風谷ダム、沙流川へとつづく二風谷湖がある。写真のように湖の手前半分は凍っており、水の流れがある奥の方には白鳥たちの姿が見えた。

コタンを堪能したらお腹が空いてきた。何か美味しいものを食べにいこうとなり、来る途中で前を通った”びらとり和牛”のレストラン「じゃんけんぽん」に行ってみることに。ここが大当たり! 旅の友はレストラン一押しのハンバーグ&ステーキ。私はチーズハンバーグを注文した。肉汁たっぷりのハンバーグは素晴らしく、ステーキも一切れもらって食べたが、あぁ、今思い出しただけでも口の中につばが…。お肉だけではなく、お米も旨い! また食べたいが、ここへ来ることが果たしてあるだろうか。一期一会かもしれないと思い、食べられたことに感謝した。

二風谷を堪能した私たちは帰路につき岩見沢へ向かった。途中、土砂降りの雨に降られたが、空が明るくなってきたと思ったら虹が現れた。黄昏時だったこともあって、西陽が照らす茜色の大地に虹が伸びていく美しさよ。どんどん色が濃くなっていき、とても写真には収めきれない大きな弧を描き、さらには二重の虹となり、なかなか消えずに私たちの行手にずっと見えていた。一度は虹のアーチの下をくぐり、消えたかと思うとまた現れて、虹のたもとを見定めたかと思うとまた消えて…追いかけっこをしているみたいだった。私は、虹のたもとにある宝物を教えてくれる妖精の話を思い出し、なんだかいいことがありそう! ついにお金持ちになれるのか⁉︎ などと子どもじみた考えが頭をよぎり、思わず「ありがとう!」と虹に向かって手を振ったのだった。

そんなこんなで2時間半ぐらい走ったであろうか。JR岩見沢駅に到着。旅の友とはここでお別れである。運転できない私の代わりに長距離を疲れた顔ひとつ見せることなくずっと運転してくれた。私はそのあと札幌の宿に入り、この2日間の楽しかったことを反芻して過ごしたのだった。

明日は風景印めぐりをする。一人だが、それはそれでまた楽しみだ。というわけで、まだ旅はつづく。

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#二風谷コタン #アイヌ #アイヌ文化 #歴史 #北海道 #小旅行

てがみまYukoのふみあかり

田丸有子。 札幌出身、東京都在住。 情緒があるものやエレガントなものに惹かれる50代。 無類の手紙好き。肩書は「お手紙コンシェルジュ」。 L.M.モンゴメリの小説が愛読書。 すきな言葉は「雲心月性」。

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