『6888郵便大隊』

Netflixのおすすめに出てきた映画『6888郵便大隊』、タイトルだけでつい観てしまいました。

第二次世界大戦中、兵士宛の手紙は配達されず書いた手紙も家族には届かないという事態が、兵士の士気に悪影響を及ぼし家族の心配を増長させていると重く見たルーズベルト大統領夫人は、陸軍に何とかするよう要請します。白羽の矢が当たったのは有色人種の女性だけで構成された部隊。想像を絶する無謀な任務でした。実行不可能と思われていた任務に知恵と勇気を合わせて果敢に挑んでいく女性兵士たちの姿を描いています。実話をもとにしており、主人公レナ・デリコット・キングのモデルとなった100歳のご本人が最後に出てきます。

(画像はNetflixのXの記事よりお借りしました。)


手書き文字による仕分けの煩雑さや兵士の居所を突き止める難しさなど、劣悪な環境で任務を遂行するのは並大抵の苦労ではなかったに違いないと想像します。

女性兵士たちが戦うのは任務だけではありません。人種差別や性差別の実態や戦場でのありようについて、実際はもっと残酷で悲惨だったに違いないと思いました。描かれ方に物足りなさや疑問を感じる人もいるでしょう。それを視覚的に見せることはほとんどないのは、今そういうものを極力目にしたくない気分の私にはむしろ有り難く感じました。

「手紙」が兵士の士気を高める…それは真実だと思います。人々に勇気や励まし、慰めを与えるのは手紙の真骨頂ですから。手書きの文字は分身のように人の想いを伝えてきます。戦争中のような非常事態であればなおのこと、過酷な戦地で読む一通の手紙がどれほど嬉しいものか想像するのは容易いです。けれど一方で私は大好きな手紙の特性さえもが、戦争に利用されている気がして複雑な思いを抱きました。兵士の士気を高めるため。その先に起こることを考えるとなんともいいようのない気持ちになります。

ケリー・ワシントン演じるチャリティ・アダムスが優しさと威厳を兼ね備え、頼もしく隊を率いていく凛とした姿が1番印象に残っています。目的を見誤ることなく自分たちのするべきことをやり遂げる力強さ、誇りを失わない精神性、仲間を思いやる心…観終わったときに、清々しさが残りました。

ところで、第二次世界大戦中であれば心の拠り所は手紙になるでしょうが、今はどうなのでしょう?戦地でも家族とのメールやチャットはできるのでしょうか? ウクライナやロシアの兵士たちはどうしているのだろうかと気になりました。


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てがみまYukoのふみあかり

田丸有子。 手紙の書き方コンサルタント。 札幌出身、東京都在住。 情緒があるものやエレガントなものに惹かれる50代。 無類の手紙好き。L.M.モンゴメリの小説が愛読書。 すきな言葉は「雲心月性」。

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