渋谷区立松濤美術館で開かれている『須田悦弘』展を鑑賞。すべて木彫りの作品だが、題材が雑草だったりスルメだったりと面白い。そして、その作品は木で作られたものとは到底信じ難いほど写実的である。花びら1枚、蔓1本、雌蕊雄蕊の微細なところまで表現されていて驚きに満ちている。展示の仕方もまるで本当に生えているかのように自然な場所に置かれている。いや展示会場では極めて不自然というべきか。
入り口で展示マップをもらって確認しながら作品を観ないと確実に見逃してしまうだろう。私が1番気に入った作品は「スズメウリ」。小さな小さな星のような白い花と蔓と葉っぱの在りようは本物と見まごう。須田悦弘さんは足元にあるこのようなものを見逃さず、ろうそくの灯りのように心に灯る瞬間をたくさん見出しているのだろうな。他の人なら見過してしまうような植物に向けられた優しい眼差しが作品から伝わってくるようだった。
そして、須田悦弘さんの作品を展示するのに松濤美術館ほどふさわしい場所もないのではないだろうか。私は初めて行ったのだが、美しい建物で感動しきりだった。独創的で作品の世界観に自然と入りこめるような造りになっていて、贅沢な空間を堪能した。目の前で手に取れるぐらいの近さで作品が展示されていたことも嬉しかった。ガラスケースに入っていたらこの感動は違ったものになっていただろうから。
会場は一部のエリアを除いて写真撮影が許されていたので多くの来場者が写真に収めていたが、もしこれから観にいく方がいらっしゃるなら、なるべく作品を見せている情報はシャットアウトしていくのがおすすめである。須田悦弘さん渾身の宝物を探して見つける喜びを味わってほしい。
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おまけ
松濤美術館のすぐそばにある鍋島松濤公園の池で見たカモの赤ちゃんたち。
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