『クリエイター100人からの年賀状展』を観たあとは小川町郵便局経由で神田須田町の甘味処「竹むら」へ歩いて行った。
昭和5年創業。ここだけ昭和のまま時が止まっているかのよう。観光客で混み合っているかと思ったが、そうでもなくすんなり通してもらえた。朝ドラ『虎に翼』に出てくる甘味処「竹もと」のモデルになったお店とのことで、一時期はとても混雑していたらしい。そうじゃなくても懐かしさを感じさせるこの佇まいは誰しも心惹かれるのではないだろうか。
お店の中はさらに趣深い造りになっていた。木のテーブルと椅子は長い間大事にされているものだけが持つ温もりが感じられる。座るとホッと力が抜けて一気にくつろいだ。
お店の中にいると格子窓の木枠の間から外で咲いているサザンカの鮮やかな濃いピンク色が見えた。その様子はまるで屏風絵のよう。なんともおごそかで品の良い風情をつくりだしていた。
席に着くと白湯に桜の花の塩漬けを浮かべたものをさっと出してくれた。
本当はおぜんざいを食べるために訪れたのだが、15分ほど歩いて到着したので暑くなってしまい、クリームあんみつに変更。寒天も求肥もあんこもアイスクリームも黒蜜も、バランス良くすべてが美味しくて大満足だった。ほかのメニューも全部試してみたい衝動に駆られる。写真を見返すとまた食べに行きたくてたまらなくなる。家の近所にあったらなぁ。
ところで、こういうお店でお会計するときはお財布(できればがま口の)から現金で払うのが粋な気がする。なんちゃらペイやカードで払うと急に現実味を帯びるというか。支払い方法に関してそんなふうに感じるのは初めてで不思議だったが…そうか、「竹むら」は無意識に非現実を味あわせてくれるお店なのだと気がついた。カラカラと引き戸を開けた瞬間から異世界に足を踏み入れていたのだ。お店から外に出ると夢から覚めたような気がした。
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